行ってきました〜。撮ってきました〜。
いちおう朝9時開始のイベントだったのだけど、CPT(Colored People Time)を意識してちょっと遅めの10時着を目指して徒歩。着いた頃はまだそれほどたくさんの人は集まっておらず、「こんなんでミリオン集まるんかい?」という感じだったけど、昼過ぎにはわんさか人が集まり始めた。
到着時点ですぐ気になったのが、とにかく物売りが多い。TシャツやワッペンやミックステープやポスターやCDや本や、とにかく5歩歩くたびに止められる、という感じでかなり疲れた。と同時に、イベントの意味というか、コアの部分が浸透してないというか、そのスピリットが物売りとかそういう物質的なことに汚されているような、なんとなく残念な気持ちになった。物売りたちにまぎれて、ブッシュ反対の白人さん達や環境保護団体の皆さんがビラ配りをしたり。ナショナル・モール全体にいくつかの巨大スクリーンが設置されていて、オーディオシステムもかなり本格的にセットされていた。
ムスリムの人たちにはたくさん会ったことがあるけど、フルーツ・オブ・イスラム(ネイション・オブ・イスラムの、いわば護衛役のようなポジション)の人たちに直接会ったことがなかったので、ユニフォームを着た彼らを見てなんだかすごく感動。あとはアフリカーンなコスチュームを着た人たちや、ラスタカラーの人たちや、自国の旗(小さいのから巨大サイズまで)を掲げた人たちや、メッセージ入りのTシャツを着た人たちや...とにかくカラフル!おかんのカメラでさっそく写真を撮り始める。
何人のスピーカーがスピーチをしたかは覚えてないぐらい、一日中スピーチ。中にはゲトーの教会ちっくなスピーチもあったけど、すごく心に響くものが多かった。有名どころとしては(私にとって“有名”)、Jesse Jackson, Al Sharpton, Cornell West, Russell Simmons、もちろんLouis Farrakhan氏...パフォーマーは、Erykah Badu、 Wyclef Jean、India Arie、など...なるべく実物を近くで写真に納めたくて、友達に頼んでVIP席のほうまで入れてもらったのだけど、やっぱり実物大をキャッチすることができず、巨大スクリーンに写る彼らをパシャリ。あとはとにかく行き交う人々の服装や表情や動きを観察して撮って...
私は個人的に無防備な被写体を撮るのが好きなので、「写真を撮ってもいいですか?」と聞くのは好きではない。ただ、フォトグラフィーを勉強していた頃やプロジェクトを手がけていた頃に、無断で写真を撮って相手を怒らせたり、追いかけられたりした経験があるので、「ちょっとまずいかな〜」と直感で感じた相手には必ず許可を得るようにしている。今回はほとんどの人が快く承諾してくれ、「なんのための写真?」と聞いてきた人にはきちんと事情を説明して、最後にはニッコリ承諾してもらった(ホッ)。
中でも私が興奮したのは、ブラック・パンサーがぞろぞろ登場した時。鳥肌立ちました〜。すごみがありました〜。あのユニフォーム、かなりかっこいい。ミリタントのように(ていうか、ミリタント?)キビキビ動く彼らのショットを逃さないように頑張ってカメラを構えたけれど、上手に撮れているかは現像してみてからのお楽しみ(何しろおかんのマニュアルカメラなので連写が困難)。
話し好きの相方はいろ〜んな人に話しかけて、私はそんな様子を写真に納めたり、2人の話をとにかく五感いっぱいにして聞いたり。こういう黒人達のポジティブなコネクションは、表現しがたい何とも言えない絆があるというか、我々日本人同士の絆と種類が違うというか、何とも言えない不思議な感覚だった。そして、こういうポジティブなコネクションが黒人達をもっとポジティブに動かしていけるといいのにな、と、強く感じた。
なかなか体験できないスピリチュアルな一日だったけれど、ひとつ非常に残念だったのが、ゴミのポイ捨て。いちおうゴミ箱は設置されていたけれど、ゴミ箱はあふれかえっているし、やっぱりポイ捨ては当たり前のように行われていた。皮肉なことと言えば...私が感動して見ていたフルーツ・オブ・イスラムの皆さんが各所各所でゴミ箱のような大きなバケツを持って立っていた。私は「さすがネイション・オブ・イスラム。ごみの処理もこともちゃんと意識して積極的にモラル向上をはかっているんだな〜」とすごく感心した。が!実はそれはドネーション用の寄付箱だった(泣)。
たまたまイベント中にばったり会った友達に聞いたところ、小さい女の子が迷子になってビービー泣いているのに気づいたある人が、フルーツ・オブ・イスラムの一人に「この子、迷子らしいんですけど...」と言ったところ、「ふんっ」という感じで無視したらしい(!)。それだけではなくて、迷子の子の母親がようやくその泣きじゃくる子を見つけた時、ハグをするのでも「はぐれちゃってごめんね」となだめるでもなく、女の子の腕を無理矢理引っ張ってひきずるように連れて行ったそう。その状況を見た友達(黒人男性)は、「せっかくの素晴らしいイベントなのに、その意味もモラルも価値も何もありゃしない。We're lost people.」と落胆したそう。
ファラカン氏の力強いスピーチを終えてイベント終了。その後にもパフォーマンスが行われ、参加者達はぞろぞろと帰り始めた。私は飛びまくるゴミ達を眺めながら、「果たしてこのゴミは、ネイション・オブ・イスラムが責任もって片付けるのか、雇われたイベント業者が処理するのか...」と考えながら家路に着いた。今朝、イベント会場を通り過ぎたときにはゴミはほとんど片付いていたけれど、誰によって片付けられたかは私にはわからない。
一つかなりウケタのが、ネイション・オブ・イスラムのあるミニスターが、「きっとメディアは今回のイベントについて叩くだろうし、Millions More Movementではなくて、『Million Man March(これは10年前のイベント)』と名前を間違えるだろうし、ミリオンではなくて、『数十万人が集まった』と報道するだろう」と冗談で皮肉ったのだが...昨晩のニュースでは、「ワシントンDCのキャピタルで行われたMillion Man Marchには30万人が集まった」と報道されて大爆笑だった。本当は、キャピタル近辺のメトロ利用者数とバスツアーの人数を合わせて、軽く1.8ミリオン(180万人)にのぼったという話(もちろんイベントに参加しなかった観光客もいただろうけど)。メディアっておもしろい。
次回からのブログでは、イベントで撮った写真達を紹介したいと思います。早く現像せねば...あー、自宅にダークルーム欲しい...